皆様、ブルーウッズ・ストラテジック・アソシエイツ
代表 塩谷です。
本日もお読み頂きまして有難うございます!
前回は、
「なぜ、日本企業はコロナ禍でリモートワークに本気で取り組めないのか? IT環境提供だけでダメ! 大事なこと忘れてるかも?」
というテーマでした。政府からもリモートワークの徹底を言われていますが、まだまだ取り組めない企業が多くいらっしゃいますね。
さて、今回は
「自社のWebサイトを24時間365日顧客対応可能な営業担当者にしていますか? Webサイトも重要な経営資産ですよ!」
について書いてみたいと思います。
それでは、はじめましょう!
ブログではDX(=Digital Transformation)戦略について連続投稿しましたが、DX戦略と言うとキラキラした社外DXの取り組みや、逆に地道に社内システムに磨きをかける社内DXなどがよくテーマに上がります。その中で、結構手薄で、多くの法人企業が手を付けいない領域があります。それが「Webサイト(ホームページ)」です。このWebサイトに掲載されている情報の多くは法人の場合、社長ご挨拶、会社概要、事業案内、商品案内、IR情報、採用情報、お問い合わせなど、だいたいどこも同じような構成になっています。そして、自社のWebサイト管理は広報部門や情報システム部が片手間に運用している企業もいらっしゃいます。
私はそのような状況に違和感を感じます。
そこで質問があります。
- あなたの会社のWebサイトの目的は何ですか?
- あなたの会社のWebサイトの役割は何ですか?
上記二つの質問を考えながら自社のWebサイトを暫く眺めてみてください。
明確に答えられそうですか? 多分、答えられない人の方が多いと推察します。答えられる方はWebサイト構築時に関与されていた方だと思います。
特に、上記2は非常に大事なポイントです。あなたの会社のWebサイトを閲覧した人に取って欲しいアクションを定義しているかをWebサイト担当者に是非確認してみてください。
本来Webサイトの役割はIR活動の為だけじゃないですよね?
次に、下記の質問について考えてみてください。
- あなたの会社のWebサイトは誰に対して、何を伝えたいのですか?
- あなたの会社のWebサイトは事業収益にどの様に寄与していますか?
- あなたは会社のWebサイトを事業(業務)活動で利用していますか?
上記三つの質問を考えながら自社のWebサイトを暫く眺めながら考えてみてください。
如何ですか? 例えば、
上記3の「誰に」については、別に投資家向けにWebサイトを用意しているわけではないですよね?
上記4の「事業収益への寄与」については、直接的収益貢献と間接的収益貢献に分けられます。例としては、もし、自社でネット販売(EC)をされているのなら直接的収益貢献、見込み顧客を獲得に貢献しているのであれば間接的収益貢献となります。
上記5の「事業(業務)活動への利用」については、営業担当者がお客様先にお伺いした際にタブレット端末を活用しながら、自社のWebサイト上にあるコンテンツをお客様との商談時に活用しているなどを指しています。
ここまで5つの質問を投げかけさせていただきました。その理由は「まずはネットで調べる」という時代に適応した自社のWebサイト活用が行われているかを意識して欲しいからです。デジタルを経営に活用することを考える際にWebサイトが置き去りになっている企業が多くいます。実際、大手企業であっても「このWebサイトにどんな役割をさせようと考えているのだろう?」と感じることが多いですから、東北地方の零細、中小企業のWebサイトを拝見すると「もっと有効活用すればいいのに」と感じます(まぁ、大手企業のWebサイトでもそうですが。。。)そこで、私はWebサイトを戦略的に活用する場合の最初の取り組み落として「Webサイトに365日24時間営業要員として働いてもらう」ことから始めてみることをお薦めしています。
「Webサイトに365日24時間営業要員として働いてもらう」とはどいうことかと言えば、言葉の通りデジタル営業として営業活動をしてもらうということです。
言葉で書くと簡単なのですが、これを本気でやろうと腰を据えて以下の三つのポイントを考える必要があります。
- 現在の営業プロセスにおける課題把握と改善
- 現在のデジタルとアナログのマーケティング戦略の見直し
- 適切なデジタルツールの選択
1,現在の営業プロセスにおける課題把握と改善
自社のWebサイトを24時間365日働けるデジタル営業とするためには以下の主なアクションが必要なります。
- 現行の人的営業プロセスとあるべき営業プロセスの姿との差異(ギャップ)の明確化と問題テーマの設定
- 現行の人的営業プロセスのどこに問題があるのかの特定。
- 現行の人的営業プロセスにおいて特定された幾つかの問題の中から優先的に対応する問題の選定
- 優先的に対応する問題を引き起こしている課題分析
- その課題が引き起こされている原因分析 ※原因は複合的である場合が多いです。
- 各原因を潰すための解決の方向性の検討
- 各原因を潰すために検討された解決の方向性の中からデジタル技術を適用できる領域の検討 ※ここではツール選定まではしません。あくまでもデジタル技術を活用出来るかどうかにとどめる。
- 営業成績の高い営業担当者と低い営業担当者両方に対して、同じ顧客課題を投げてどの様にアクションするのかをヒアリングし、受注成功の営業シナリオパターンを幾つも明確化する。尚、営業成績が良い人のやり方が正しいとは限らないので、そこはしっかり分析します。
2,現在のデジタルとアナログのマーケティング戦略の見直し
- 人的営業活動で使用しているチラシ、紹介資料などの営業ツールなどの棚卸とデジタル化の検討
- セミナーやイベントなどの企画内容及び、アンケート結果、商談化案件数などの分析
- 案件化した後、受注ステージに辿り着いた案件のプロセス分析と原因分析 ※受注まで行かなかった案件も同様に実施
- TwitterやLINE、Facebook、YouTubeなど、各種ソーシャルメディア事の目的と役割の再検討と効果検討
- CRMなど顧客管理ツールを利用している場合には、どの様なデータを収集しているのかを棚卸する。
まず、ここまでで一旦ストップしましょう。
主なアクション項目をご覧になると、通常の営業業務プロセス改革と同じことを行っていると思われたかもしれません。実は、営業のデジタル化だからと言っていきなり営業管理システムの導入とか、クラウドサービスを利用することを考える方々が多いのですが、その前にやることが色々とあるんですね。検査もろくにしないで、最初から内視鏡手術で行きましょうとは医師は言わないですよね?
さて、次に行うことは上記1と2を組み合わせて業務プロセスを再構築してみる流れにとなります。現行の営業プロセス改革の方向性と現在のアナログ・デジタルマーケティングの施策を組み合わせてた営業プロセスを再構築します。但し、直ぐに使用するデジタル・ツールの検討は行わないでくださいね。この再構築した営業プロセスが機能するのかどうかを営業部とマーケティング部門(営業企画など)含めてじっくりと検討し、実際に検証してみます。
この検証を何度か繰り返し、課題タイプの定義、課題タイプ毎のコンテンツの充実化、興味を喚起するコンテンツの提供など、自社のWebサイトを訪れた人が営業担当者から連絡を希望するまでのシナリオの策定と人的営業担当者がお客様との対面コミュニケーションやメールでのやり取りにおいてWebサイトにあるコンテンツをどの様に活用するか効果的なシナリオを策定します。
尚、この策定シナリオは一度策定したら終わりではなく、継続的に検証・分析・改善・再検証を繰り返し続けます(アジャイル)。 ちなみに、私がコーチ型コンサルティングでご支援しているケースでは、全体3ヶ月を一つの区切りとして、営業とマーケティング(または営業企画)、IT部門を含めたチームを構成して頂いています。基本的には専任として動いてもらいます。専任でとお願いすると、だいたい営業成績が良くない担当者をアサインしてくる傾向にありますので、その場合には忖度なく替えてもらいます。
3,適切なデジタルツールの選択
いよいよデジタルツールの選択となります。上記1、2の取り組みを行い、最終的に再構築したデジタルを活用した営業プロセスを支えるデジタル・ツールに必要な条件を検討して行きます。
Webサイトをデジタル営業担当として働いてもらうのですから、やはりWebサイトを構築しているプラットフォームから見直しする必要があります。しかし、大手企業の様に潤沢にWebサイトへ投資しすることが全ての企業で行えるわけではありませんよね。そこは投資できる予算の範囲で出来る限りのことを検討することになります。
ただ昨今では自社でシステム構築して開発し、それを保守運用するモデルよりも、基本的にクラウドサービスを利用して構築した方が効率的であり、費用面だけではなく潜在コスト(システムのアップグレードや機能強化、セキュリティ対策などなど)の管理がしやすくなってきています。毎年のライセンス契約費用が上がっていく場合もありますが、それを高いと思うのか妥当と思うかは採用したサービスによる投資対効果によります。なので最初に役割と目的の策定が重要なのです。
尚、クラウドサービスを利用する場合のコツですが「基本的に自分達の業務を出来るか限り採用するサービスの機能に合わせる」ということです。日本企業はカスタマイズ(自分好みに修正)が大好きです。しかし、カスタマイズは出来る限り行わない方がコストが抑えられます。カスタマイズし過ぎたことで原型をとどめなくなってしまい、メーカーが新しい機能を強化してもカスタマイズし過ぎで対応出来ないという事例が沢山あります。そもそも「うちは特殊だから」という言葉は色々な意味でリスクが潜んでいます。
さて、24時間365日不平不満を言わずに営業してくれるWebサイトのプラットフォーム選定の際に気にし置くべきポイントがあります。
ご参考までに下記に幾つか記載致します。
パーソナライゼーション機能があるか?:
超簡単に言うと、様々な課題を持った10人のユーザーがWebサイトに同時に訪問して来た時に、表示する情報を10人それぞれに出し分けて表示出来るする感じです。(※主なメーカー:サイトコア、アドビなど)
デジタル資産管理機能があるか?:超簡単に言うと、Webサイト上で使用している画像や文章など、または紙のカタログに使われているデザイン情報や商品説明などを共通して利用できる管理機能。多分、多くの企業では紙ベースの営業資料とWebサイト上に掲載する資料や情報は分けて管理していると思いますが、これを一元管理して効率よく運用する機能です。海外にも展開されている企業ではとても効率的に管理ができます。
マーケティング管理機能あるか?:超簡単に言うと、10人のWebサイト訪問者がそれぞれ最初のページでクリックしたコンテンツ(記事)を特定して、次に表示させるコンテンツを出し分ける機能。例えば、紙の新聞を例にすると経済に興味ある人、スポーツに興味ある人、国際問題に興味ある人ごとに紙面構成をリアルタイムに変えていくというイメージです。
顧客管理システム、営業管理システムとの連携機能があるか?:超簡単に言うと、Webサイト上で閲覧者(=将来の見込み客)がどの様な情報に興味を持ったのかを、まだどこの誰だか分からない段階から顧客管理システムに情報を蓄積していく機能。最終的にお問合せが来た時点で過去の閲覧情報を結びつけることが出来ます。営業担当者にはお問い合わせが来た段階でフォローに入れるので効率的です。また、既存顧客においても有効で、営業訪問後にメールにWebサイト上の特定ページのリンクを張り付けてメールして閲覧しに来てくれているかどうか、どのくらいの時間見てくれたか、その他のページや情報も見てくれたかなど、対面で話せていない間の既存顧客の関心毎を垣間見ることにも役立ちます。(主なメーカー:セールスフォース、マイクロソフトなど色々ありますね。)
非技術系の人でもページ内の情報を編集したり、各種設定がし易いユーザーインターフェースになっているか?:超簡単に言うと、パワーポイントやワードで編集するようにページ作成することが出来る機能。多くの企業ではWebサイトのページ作成やページ内の文言などを編集する時には担当者に依頼しているケースが多いです。または外部委託先に費用を払って修正、編集してもらうなど。これだと、スピードが遅すぎるし、わずかばかりの作業のために費用が発生するのはバカげているので自分達で手を動かしましょうというイメージです。昨今は、ほんと編集がしやすくなりました!
分析機能があるか?:超簡単に言うと、自社のWebサイトの各ページの閲覧状況を確認する機能です。例えば、あるAというページを閲覧した人の多くは、必ずDというページを見ていて、お問い合わせにつながっているぞ、ならばページの構成や流れを変えるか? この様な分析に役立つ機能です。もっといろいろなことが出来ますが。
EC機能があるか?:これは、本当にオプションでしかありませんが、法人向け事業においてもEC機能を利用する面白い方法があります。海外の某大手化学薬品メーカは、何万点となる自社商品の紹介資料をEC機能を自社サイトに付加して、カートに入れてダウンロード出来る様にしました。検索もし易いし、ダウンロードする際にメールアドレスなど最低限の情報を入力させることでお礼メールも送れます。これも営業プロセスにデジタルを組み合わせる方法の一例です。決済の発生しないECの活用例です。
さて、いろいろと書いてきましたが、24時間365日営業活動してくれるWebサイトを構築するには投資は必須となります。これは避けて通れません。しかし、営業担当者を一人採用し育成し、結果が出るまでに掛かる費用を試算してみてください。デジタル技術を活用することで、営業担当一人分ではなく、複数人分の働きをしてもらうことが可能となります。そして、人的営業資源をより手厚く対応するべき顧客に配置させることが出来ますよね。
ということで、
- 現在の営業プロセスにおける課題把握と改善
- 現在のデジタルとアナログのマーケティング戦略の見直し
- 適切なデジタルツールの選択
について、表層レベルですがサラッと追ってみました。折角、Webサイトを構築しているのに活用しないのは勿体ないです。24時間365日営業活動をしてくれるWebサイトを構築することで、特に中小企業では少ない営業人員で生産性高く営業活動が行うことが可能です。是非、自社のWebサイトの有効活用をこのコロナ禍だからこそ検討してみてください! そして、地方の企業経営者の皆様、地方こそデジタルを活用しましょう!
さて、次回は、研修について書いてみたいと思います。最近、ある経験を二つ程したのですが。。。
「研修に参加すると盛り上がるのに、業務に戻ると学びを活かせない。。。研修の投資対効果を意識してますか?」
です。
本日も、ここまでお読み頂きまして有難うございました!