さて、前回のブログでは「デジタル・トランスフォーメーション(DX)をなぜ技術視点から始めてしまうのだろう?」というテーマで綴ってみました。
今回のテーマは、
■デジタル・トランスフォーメーション(DX)は言葉であり実態が無いので、有形なモノから入るの方が分かりやすい?
となります。 では、はじめましょう!
ところで、“DIGITAL TRANSFORMATION”という言葉は、2004年にEric Stoltermanが発表した論文「INFORMATION TECHNOLOGY AND GOOD LIFE」 の中で使われて初めて世に現れたと言われています。(是非、読んでみてください。)
2004年ですよ! iPhoneが日本で発売される4年も前ですね
さて、この「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」という言葉って実態が無いのですよね?
単なる言葉でしかないですよね?
私はよく、経営層の方とお話させて頂く時に、以下の質問を投げかける様に心がけています。
「御社はDXに積極的に取り組むと仰っていますが、御社の経営にDXが与える影響って何ですか?」
「なぜ、DXに取り組む必要があるのですか?」
この様に問いかけるとしばらく沈黙して考えらえるか、IoTやAIなどデジタル技術の活用についてお話をされる方も多いです。
あ、別に不快にしたくて聞いているんじゃありませんよ!
DXって経営戦略なのでお聞きしているのです!
DXについて技術先行で議論を始めやすいのは、有形なものを
テーマに議論した方が分かりやすいから当然でしょう。
一方、無形なものをゼロから考えて徐々にカタチあるDXにするためには、まずは小さく市場(社内)に展開して検証と改善を繰り返していくやり方になります(アジャイルと言われていますね)。
でも、無形なものに投資して得られる効果が未知数であるために、DX企画担当者が投資予算申請を上申するかどうかについてなかなか方向性が決められず、一方、決裁する側もイメージが持てないから投資決裁の覚悟が出来ず、双方で行ったり来たりして時間が過ぎるという悩みも理解できます。
(ちなみに、地方銀行と都市銀行では、DXに取り組みたい企業に対する積極的な融資姿勢に、まだまだ理解の差があると感じています。)
よって、社内業務系DXを対象テーマにした取り組みが多いのは、有形なモノとして業務課題(多くは現象で原因ではないです)が「(一見課題の様に)見えている」からテーマにし易く、ゴールも設定し易いからです。
ただ、基本的にDXの取り組みを業務課題から手を付けるのは正しいと私も考えます。それは社内DXと私は考えます。
よって、社外DXにも取り組む必要があります。(それは、別回で綴ります!)
また、「失敗はNG」という文化が強い企業では、基本的に検証と改善を繰り返しながらDX効果を継続的に高めて行く方法をなかなか受け入れにくいので、社内DXから手を付けるというのもあります。
よって、安全に進めるために、有形な「モノ」をDXの中心に据え、そこから期待される効果を示した方が経営層にも社員にも分かりやすいので、社内業務系DXはとっかかりやすいのです。
(うーん、まぁ、そうなんですが。。。)
例えば、「営業業務をDXで改革し、売上増加を目指す!」と
経営層が声を上げたとしましょう。
「営業プロセス分析で課題を発見し、プロセスを再設計後、どのプロセスをシステム化(営業系クラウドサービス導入など含む)することで営業効率が上がるのかを検討する。
更に、まったく有効に活用出来ていない自社のWebサイトを「24時間365日 寝ずに働けるデジタル営業担当者」に仕立て上げ、パーソナライズ機能を用いて顧客ニーズの醸成を自動的に行い、ある基準値に達したニーズが高まった顧客だけを、人的営業部員にアサインし営業フォローさせる。。。※ありがちなストーリーですが。。。」
上記は、既に有形である営業業務プロセスをどの様にDXさせるかという例ですが、多くの場合、検討を任された担当チームメンバー達は、以下の初動になるでしょう。
「とにかくさぁ、ちょっとSalesforceとか、マイクロソフトとか、そうだ予算あればSAPとかに声かけて、話を投げてみようかぁ」
「BIとかも導入して、いつでも、どこでも確認できる営業ダッシュボードなんて便利だよね!」など、これまた有形な「モノ」から議論が始まることが多いと思います。
でも。。
モノ(技術など)を起点にDX戦略の検討を始めると、狭い視野での議論になり「本質的な課題に気づかない」リスクが高まります。
もちろん、そんなことは分かっているし、ウチは出来ているという企業様はいらっしゃいます。 でも、もし「あ、なんか技術(モノ)視点の議論になりかけているなぁ」と感じたら、以下の問いを心の中で、度胸ある方は会議の中で、更に度胸ある方は経営層に投げかけてみてください!
自問1:「あれ? そもそも本質的な課題ってなんだっけ?」
自問2:「その課題は誰の課題を解決するんだっけ?」
自問3:「それを解決すると、どんな良いことが得られるんだっけ?」
自問4:「解決策は、検討中のデジタル手段だけで解決できるんだっけ?」
自問5:「そもそも、何か社内文化とか、業務に対する社員の意識とかも影響してないか?」
実は、上記の自問4から始めて他の自問に行くことも当然出来るのですが、多くは自問4でデジタル系の手段が示されると他の自問をしなくなり、その示された解決策に引っ張られ視野狭窄な検討に突っ走り始めます! 走り出したら止まらないぜ!という感じです。
「解決手段に拘るのではなく、課題に拘る」ようにしてください!
それから!!!この質問を上司や経営層に投げかける時は、自己責任でお願いしますね!!! ※一切の責任は負いかねます。
ちなみに、私のコーチ型コンサルティングでは、(言いにくい)ご担当者様の代わりに会議の中などで、経営層や企画メンバーの方々に、上記以外にもどんどん問いを投げかけさせて頂いております。もちろん、一切忖度せずに!すみません!
さて次回は、
■デジタル・トランスフォーメーション(DX)って誰が主導するべきなの?
について書いてみたいと思います!
今回もここまでお読みくださり有難うございました!