皆さん ブルーウッズ・ストラテジック・アソシエイツ代表の
塩谷です!
いつもお読み頂き有難うございます! 日々お話をさせて頂く経営層の皆様との会話から感じたことを書いております。
前回は、
「DXに取り組むにあたり、最初に徹底的に考えるべきテーマは何か?」
でしたが、如何でしたでしょうか?
さて、今回は、
「DX経営戦略を自社だけの取り組みで完結すると競争に負けるかも?」
ということについて書いてみたいと思います。
それでは、はじめましょう!
DXはデジタル時代の経営戦略であると、以前のブログ「なぜDXを技術視点から検討し始めるのか?」で少しふれました。
しかし、日本では、業務プロセス改善をデジタルで行う社内DXの取り組みから着手する企業がまだまだ多いと感じています。
これについても以前のブログ「DXに取り組むにあたり、最初に徹底的に考えるべきテーマは何がよい?」でお話した通りです。
あ、業務プロセスの見直しから始める社内DXを否定してるわけではありません!! ※私をご存じの方は誤解しないでください!汗 でも、忖度なく言うのが私らしいところですが。。。
私は社内DXを取り組まれているお客様に必ず投げかける主な質問があります。
- 問1:その社内DXにより喜ぶ顧客は誰ですか?(顧客=実際に商品を購入する人、社員、取引先、競合他社)※競合他社を含めることに対して、え?ってよく言われます。
- 問2:その社内DXにより既存のサプライチェーン全体や業務プロセス全体などを新たなに組み直しましたか? それとも、あるポイントだけをデジタル活用で変革するのですか?
- 問3:その社内DXにより競合他社に対してどの様な競争力(強み・差別化、独自性)が増しますか?
- 問4:その社内DXは社外の関係者(顧客=実際に商品を購入する人、社員、取引先、競合他社)も含めた取組となっていますか?
- 問5:その社内DXは、自社、顧客(=実際に商品を購入する人、社員、取引先、競合他社)が相互に作用しあう事業活動基盤(プラットフォーム)となっていますか?
この質問の目的は「デジタル時代の経営戦略においては、同業他社は競争相手でもありパートナーにもなる時代であるという認識が必要」であることを考えて貰うために質問しています。
最初は業務プロセス改善の社内DXだと思っていても、その業務プロセスに外部関係各社や顧客関係にも影響が出てくるのであれば、社内だけの改革検討だけでは不十分と言うことになります。
別の見方をすれば、関係各社(取引先や顧客など)が行っている業務プロセスの一部分でも社内DXで取り込んであげれば、彼らの生産性が高まり価値を感じてロイヤリティが高ります。
そうなれば、例えば、取引の諸条件についても良い条件で交渉が出来る効果も期待できます。競争力を高めるためには、自社に閉じた視野だけの社内DXでは、気が付いたら競争相手に、しかも同業他社以外の業界の新規参入者にも負けていたということになりかねません。
また、上の問3は、異業種からの参入がデジタル時代には容易になり、必ずしも単一業界の中だけで競争が行われているわけではない時代が加速していることを認識してもらいたいのです!
例えば、海外ではUber(ウーバー)が、自分達で物理的に車両を持たないでタクシー業界に参入してきましたし、他には従来の金融業界に存在しなかった異業種から新規企業が電子マネー、電子決済サービス業界にどんどん参入してきています。
問5についてはプラットフォーム型ビジネスについての質問です。※ここ重要です!テストに出します!w
先日、某TV番組でサブスクリプション型ビジネスの特集がされていました。その中で「絵画を月額定額で貸し出すサービス」がありました。
この絵画を貸し出す会社を真ん中にして両サイドに二つの顧客がいます。それは、「自宅に絵を飾りたい顧客」と「絵を描いて発表したい画家」です。この企業は、両者を結びつけるプラットフォームで収益を上げています。当然決済もありますから、このプラットフォームには決済サービス会社が連携しますし、配送がありますから信頼できる配送会社のサービスとも連携します。すると、このプラットフォームから見れば4つの顧客が存在することになります。「絵を借りたい人」「絵を描いて発表したい画家」「決済サービス企業」「配送サービス企業」です。決済企業と配送サービス企業からすれば仕事を持ってきてくれるプラットフォームになりますね。
DX経営だからと言って、必ずしもデジタルコンテンツ商品である必要はなく、物理的商品であってもプラットフォーム型ビジネスモデルが出来るというひとつの例ですね。
私は東北地方生まれ(青森県八戸市)ですから、年々寂れていく町や高齢化が進む地域の人達の生活や地方企業を元気にしたい思いがあり開業しました。
その中でも、特に地方の小売店であるスーパーなどは「店舗の存在価値」を新たに定義する時代に入っていると考えます。商品ブランドと顧客をつなげる介在者であるスーパーですが、商圏に住んでいる人口は変わらないのに複数のスーパーがオープンしてパイを取り合っている状況です。特に地方では高齢化が進み、人口減少や流出も起きていて、大きな客単価の伸びが食料品セグメントで見込みにくいとなると、新たな収益体質に転換し始めないとならないのではないか?と、生活者の立場、業界の外にいる者だからこその視点から感じます。
ちなみに、米国の小売業界では顧客の健康支援領域に如何に関わっていくかを積極的に模索しており、まさにデジタルを活用してヘルスケアプラットフォームを作り上げアジャイル型で展開しています。
この「ヘルスケアプラットフォーム」にスーパーが入り込むにはDX戦略が物凄く重要になります。東北地方の地場スーパーの経営者の皆さん!事業規模に関わらず、DX活用でデジタル経営変革は可能です!! 地銀の皆さん!銀行のご支援も必要ですよ!
※これについては思い入れが強くアイディアもありますが、長くなるので書くのはやめておきます!笑
少し書くと。。。笑
実は先日、青森県のあるスーパーの経営者様とお会いする機会がいありました。そこで、こんなご質問をしました「〇〇社長、地域密着のスーパーを目指すと仰られますが、商品以外で商圏内の地域住民と、どの様に密着されますか?」こう質問してみました。もし、このブログをお読みの小売業経営者の方がいらっしゃいましたら、ご自身で考えてみてください。
あ、もちろん、東北地方以外の地方スーパー経営者の皆様も可能です!! 小さいく初めて検証・検討・改善をどんどん繰り返しながら、短期間で伸ばしていく「アジャイル」というやり方は特に中小企業に向いています! DX経営戦略ではスピードが大事です。そもそもDX経営戦略において現場への権限移譲と判断できるDXを理解した人材がセットであることが必須条件です。日本企業では未だに多くが合議制です。。。※これについては、また別にお話しますね。先日、ある経験がありましたので。。。!
大手企業ばかりではなく、町の小さな魚屋さん、八百屋さん、お肉屋さん、薬局などなど、昨今ではデジタルを活用することで事業規模に関わらずスピード感もって進められます!もちろん、DX経営戦略はある程度考える必要があります。でも、最初から完璧である必要はありません。多少覚えてもらう知識はありますが、一番大事なのは「顧客の課題やニーズを知る視点」です!
地方経営者の皆さんは長年のご経験から顧客を理解し地場で事業経営されてきたことに敬意を表しますが、更にそれをもう一段深く理解することで新たな顧客の課題・ニーズに気づくことが出来ます! この視点の持ち方は後天的に学べます!
私は、都市圏の大手企業で働きながら、毎年青森県に帰省する度に寂れていく町、何十年も続いたお店や企業が廃業することを知る度にこんなことを思っていました。。。
「都市圏の大手企業経営者様の周りには、多くのコンサルティング会社やシステム会社など、ご支援してくれる企業が周りに沢山いらっしゃいますが、地方ではそうはいかないよなぁ」
そんな思いからコーチ型コンサルティングを開業したわけなので、地方経営者の皆さん! 自ら考えて頭と手を動かさなくてはなりませんが、是非、頑張りましょう!! (すみません。。。ちょっと、話がズレました。。。)
ということで、デジタル時代の経営変革において競争戦略を考えるにあたり「誰かと誰かをつなげる自社の介在価値(プラットフォーム)について、従来のままで良いのか?」と考えることを今やらないと、コロナ禍が落ち着いた時に、新たなスタートダッシュが出来ないのではないかなぁと感じています。特に地方企業の経営者の皆様こそ、DXを活用した経営変革が適しています!
今回も、ここまでお読みください有難うございました!
さて、次回ですが。。。
「DX経営戦略でデータを経営資産として活用するぞ!と言うけれど。。。そもそも社内にあるデータは宝の山ですか?」
です。
では、次回も宜しくお願い致します!
塩谷